模写で絵は上手くなるのか?
記事のタイトルの「模写で絵は上手くなるのか?」の答えは
模写だけでは上手くなりません。
いきなり、結論を描いていしまいましたが、重要なのは「だけ」の部分です。
今回の記事は一年間模写してきた経験を踏まえて、模写について書いていこうと思います。
絵を描くための能力
以前記事で紹介した成富ミヲリさんが書いた「絵はすぐに上手くならない」という本に載っている絵を描くための習得可能な8つの能力があります。
アイディア アイディアの質と量が安定している能力
オリジナリティ 感覚と研究によって、独自性を打ち出す能力
形状ストック 多くの形を覚えている能力
構図構成力 視野角が広く、全体を把握することができる能力
形を取る力 形をすばやく取り、形の狂いを修正できる能力
立体を把握する力 立体感、光と陰影について理解している能力
テクニック 線が安定しており、描写のテクニックを会得している能力
完成させる力 集中力を持続させ、自分自身を管理する能力
模写で身に付けられる能力
私はこの一年間ポーズ集の模写ばかりしてきました。そしてある程度は絵が上達したと自負しています。
一年間模写した結果、自分が絵を描くための8つ能力の上達に効果があったか書いていきます。
アイディア
× 効果なし
ポーズ集ばかり模写していても何もアイディアが沸いてくることはありませんでした。
模写をしたとしてもアイディアを産み出す能力は上がりません。
オリジナリティ
× 効果なし (場合によってはマイナスになることもある。)
僕の場合はポーズ集の模写ばかりしていました。僕の絵は個性や独自性はかなり薄いです。むしろ絵が下手だったころの方が個性的な絵を描けていました。
ポーズ集の写真ばかり模写していくと、上達していくうちに、個性が消えていく傾向があります。その理由は絵をより写実的に描けるようになるからです。
これがいいか、悪いかは別として模写ではオリジナリティには効果がありませんでした。
形状ストック
〇 効果あり (ただし、人体に限る。)
一年間ポーズ集を描いてきたおかげで、人がどのような形をしているか理解できるようになってきました。意外に人間がどんなな形か理解してる人は少ないと思います。それを理解するためには模写が一番効果的です。
特にたくさんのポーズを描くことによって応用力も鍛えられました。今ではポーズ集見なくてもある程度は描けるようになりました。
たくさん模写する際はラフでも十分に形状ストックを増やすことができます。
しかし、僕はポーズ集ばかり模写していたため人体の形状ストックしかありません。
動物や植物、建物や乗り物などの形状ストックがまるでありません。そのため、背景や小道具などが描けません。
構図構成力
× 効果はなし (練習の方法によっては〇)
構図構成力に関しては僕の模写のよくなかった気がします。僕の模写の仕方はコピー用紙にポーズ集のモデルの全身をひたすら描きまくるものでした。構図も構成もまるでありませんでした。
今思うと、紙一枚に被写体を一人に限定して、構図など考えて描けばよかったのかもしれません。
構図構成力が模写によって身に付けられないというわけではありません。しっかりと描く前に構図や構成を踏まえて、模写すればきちんと身につく能力だと思います。
形を取る力
◎ 大いに効果あり
模写の恩恵が最も受けるのがこの能力のような気がします。模写はすぐとなりにお手本があるため、自分がどこに問題があるかわかり、すぐに修正ができます。それを繰り返すことによって、対象を見る目を養うことができます。
形を取る能力は様々な場面で役に立ちます。教材本を読んでる際も本の挿絵を模写することによって、より本の中身も理解できます。また、すばやく形を取ることができるので、形状ストックも多く増やすことができます。
立体を把握する力
△ 少し効果あり
模写は写真などイラストなどは平面的なものをマネして描きます。
一方デッサンでは被写体を実際に見て、描きます。
そのため、この点に関しては模写はデッサンに比べて劣ってしまいます。
少しでも模写で効果を高めるためには影を付けることです。最初はなんとなくていいから影をつけいった方がいいです。しだいに、どこに影をつけるかわかるようになってきます。どんどん挑戦していきましょう。
テクニック
△ 模写の仕方次第
これは模写をどこかまで描くかによります。テクニックを育てるためにはきちんと線画まで描く必要があります。線画を描くことによって自分のテクニックがどれだけあるかわかります。線画はラフと違って自分の実力がはっきりと示されますから、あまり気が進まない方もいると思いますが、テクニックを上達させるためにきちんとラフを線画にしましょう。
ただ線画は時間がかかるため、すべての模写を線画に必要はありませんが何枚かは線画に挑戦してください。
完成させる力
△ 部分的には効果あり
描いた模写が完成した作品に近ければ近いほど、どれくらいの労力がかかるがわかるようになります。プロの作品を模写すると本当にプロのすごさがわかります。
ただ、これは目に見えるところの労力です。キャラデザインや構図など目に見えない努力は自分が作品を作ってみて初めて分かると思います。
まとめ
アイディア ×
オリジナリティ ×
形状ストック 〇
構図構成力 ×
形を取る力 ◎
立体を把握する力 △
テクニック △
完成させる力 △
一見してみると、模写は幅広い能力上げることができるように思えます。しかし、そのほとんどはやり方によっては効果がない場合もあります。
そして、アイディアやオリジナリティに関する能力は全く成長しないので、作品を制作するならば別のことをする必要があります。
本当に絵が上手くなりたい場合は模写だけではなく、模写以外の別の練習を模索する必要があります。
しかし、模写には大きなメリットがあります。形を取る力が上がるとすばやく模写できるようになります。これはほかの能力を成長させるときに役に立ちます。
オススメ?の模写
私が実際にした模写を紹介します。
コピー用紙と鉛筆(シャーペン)、ポーズ集を用意します。
ポーズ集は自分の好みに合うものでいいです。できれば、体全体が大きく写っているものがいいです。
そして1ページから最後のページまでひたすら模写します。
ここで大事なのが全部一通り描くことです。
この時はまだラフ程度で十分です。
一通り模写し終わったら、二週目に突入してください。
二週目は一週目よりはやく描けると思います。それだけ実力がついたということです。
二週目も基本はラフでいいのですが、たまに線画を描きましょう。
二週目が終わったら三週目に入りましょう。三週目は全部書く必要がありません。
自分の苦手だったところを重点的に模写していきましょう。
この方法で描くと時間がかかりますが、たしかな実力と自信が身につきます。
……うん。自分でやった方法を書いてみたのですが、あんまり人に勧められたものじゃないですね。僕はこの方法で半年ぐらいかかりました。時間に余裕ある人はどうでしょうか。